女子第1回大会の記事
初代女王に市船橋
女子第1回大会でゴールテープを切る市船橋の川島 |
---|
小雨まじりの都大路を舞台に繰り広げられた女子第1回大会は、粘り強く追い上げた市船橋が最終の5区で逆転、1時間9分48秒の高校最高記録で初代女王の座についた。
8秒差の2位でゴールインした筑紫女学園も1時間9分56秒で高校最高をマーク。3位は埼玉栄が入り、4位には地元・宇治が食い込んだ。優勝候補の一角、鈴峯女子は1区で17位と出遅れたのが響き、6位に終わった。
■ レース評
アンカー川島、80メートル差一気
スタート直後、五条通を集団で力走する1区の選手たち |
---|
1区4キロ過ぎで抜け出したのは筑紫女学園のエース寺崎と埼玉栄・堤。残り500メートルで堤がスパートし、寺崎に1秒差をつけてタスキ。3位には愛知淑徳の大崎。群馬女短大付、市船橋が続いた。
2区は埼玉栄、筑紫女学園が首位を争い、3.5キロ地点で埼玉栄の加藤がスパート。2位には1区6位の宇治・永井が区間賞の快走で浮上した。26位でタスキを受けた長崎・壱岐商の橋口も13人抜きの離れ業。
宇治、埼玉栄、市船橋、筑紫女学園が横一線で5位以下との差を大きく広げたのが3区。筑紫女学園の1年生・後藤は市船橋の浜崎に1秒差をつけてタスキを渡した。4区では、3位でタスキを受けた埼玉栄・岡安が残り1キロで、並走していた市船橋の杉村との差を約80メートルにしてアンカーへ。3位に宇治、筑紫女学園はトップから27秒差の4位に落ちた。
埼玉栄のアンカーは1年生の鈴木。市船橋の川島がじわじわと差をつめ、2.8キロ過ぎで鈴木をとらえ、トップに。筑紫女学園・鯉川が2キロ手前で宇治をかわし、残り1キロで埼玉栄も抜いて2位に。市船橋も射程圏内かと見えたが、川島は気力のスパートで追撃をかわしゴールに飛び込んだ。
雨の都大路 涙の大逆転
記念すべき第1回大会の栄冠に輝いたのは、アンカー勝負を制した市船橋だった。
冷たい雨が降りしきる中、埼玉栄、市船橋、筑紫女学園、宇治の4強が終始、競り合った。4区で埼玉栄・岡安が市船橋・杉村を引き離して単独トップに。5区中継所で埼玉栄と市船橋との差は80メートルもついた。しかし、5区で逆転劇が待っていた。
アンカーは、埼玉栄が1年生ながらインターハイ800メートル2位の実績を持つ鈴木。市船橋は2年生エースの川島。「鈴木さんはスピードランナー。私はスタミナに自信がある」。見通しのきく一直線の西大路通。雨にけむる鈴木の背中を見据えながら川島は自分のスタミナを信じて飛ばした。
上下動のない安定した鈴木のフォームと対照的に、川島は首を振り両腕を大きく振る。差はみるみるうちに縮まった。西大路五条の交差点で川島は鈴木のすぐ後ろに迫った。
「あそこで勝ったと思った」と川島。レース前に清水監督から受けた「並んだら一気に追い抜け」の指示通り、川島は2.8キロで並ぶ間もなく鈴木を抜いた。
それでも気は緩められない。後ろから5,000メートル高校ランキング3位の鯉川(筑紫女学園)が急追していた。「怖くて振り返れなかった」というピッチは落ちず、川島は高校女子駅伝最初のテープを切った。
156センチ、48キロ「この小柄な少女は、どんな心臓の持ち主なのか」と驚かせるような川島の激走だった。毎年春から夏にかけて貧血に苦しみ、今年も3月から10月までほとんど本格的な練習をしていない。だが、10月末に練習に復帰するや3,000メートルで自己ベストを10秒も縮める9分35秒をマーク。清水監督は「うちの選手は本当に粘りがある」うれしくて仕方ないよう。
市船橋といえば、男子が3年前に優勝し、今回5年連続出場。早朝練習では常に男女合同で約6キロを走り込んできた。「昨年は男子を応援していたけど、やっぱり自分たちで走るのが最高。」とメンバーが口をそろえた。第1回大会で早くも男子に追いついた女王たちの顔はどれも光り輝いてみえた。
【堂馬 隆之】◎ トピックス
記録
1時間9分48秒の市船橋など上位2チームが更新。これまでの記録は、今年11月の九州大会で筑紫女学園がマークした1時間9分58秒。