女子第4回大会の記事
市船橋が大会新V
大会記録でゴールインする市船橋のアンカー蛯江 |
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第4回大会は最終5区に勝負が持ち込まれ、市船橋の蛯江選手が先行する鈴峯女子をとらえて逆転。昨年、筑紫女学園がマークした1時間8分28秒を破る1時間8分26秒の大会新、高校歴代2位の記録で第1回大会以来3年ぶり2回目の優勝を果たした。
2位は宇治。2連覇を狙った筑紫女学園は主力の月俣を故障で欠きながらも4位、初出場の熊本市商が3位に食い込む健闘をみせた。また12位までが1時間10分を切るなど高速化に拍車がかかった。
■ レース評
全国的にレベル向上
5区2.3キロ付近で鈴峯女子の中川(右)を捕らえ、一気に先頭に立つ市船橋・蛯江 |
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市船橋は1区の中人がスタート直後に転倒しながら、焦らずに追い上げて先頭の加藤(宇治)に7秒差の5位でタスキを渡した。2、3区の水内、横塚は終盤踏ん張ってトップと100メートル差を維持し、4位で4区へ。アンカー勝負の下地をつくったのが、4区の三田。区間新記録の好走で2人抜き。先頭の鈴峯女子まで50メートル以内にまで肉薄した。アンカーの蛯江は力強い腕振りのダイナミックな走りで、2.3キロで鈴峯女子の中川をとらえ、そのまま勢いをゴールまで保った。
先行した宇治は3、4区のつなぎ区間で伸びず、最終区も前半のオーバーペースで2位を確保するのがやっと。悲願の初優勝はならなかった。
特筆していいのは初出場で3位に入った熊本市商。1区の和田が首位から50メートルの6位と好位置につけ、全員が区間7位以内の安定した走り。1、2年だけで1時間9分を切った。また鈴峯女子は4区までに3人が区間新をマークし、逃げきるかに見えたが、アンカー中川が途中骨折のアクシデントに見舞われ、6位に沈んだ。
故障や転倒、皆でカバー
骨折しながら走った選手がいる。転倒した走者もいた。それでも市船橋は勝った。豊富なロードの練習量で培った地力がもたらした2度目の頂点だった。
10日前、以前から左足に痛みを訴えていた2年の水内が「すねの内側の骨にひびが入る疲労骨折」と診断された。走れるが、他の選手と同じ練習はこなせない。それでも鈴木監督は2区に起用した。前回の2区区間賞を取った脚力にかけた。3区には夏以降調子を上げてきた1年の横塚を起用。2位だった前回とはメンバーも調子も違う状況でレースを迎えることになった。
スタート直後に誤算。トラックで中人が転倒し、他の走者に何度かけられた。まだ序盤とはいえ、優勝候補には痛いアクシデントだ。しかし1年時から1区を走る中人は強い精神力を発揮した。「転んで目が覚めた感じ」と中人。焦ってペースを乱すことなく着実に先行集団につき、宇治の加藤から7秒差の5位で中継所に飛び込んだ。水内も横塚も自分のリズムで走り続けて4位に。不安材料を次々に解消して市船橋は盛り上がった。「4区で10秒差なら勝てる」と踏んだ鈴木監督の思惑どおり4区の三田は9分12秒の区間新で快走し、9秒差でアンカー勝負に望みをつないだ。
5区の蛯江はレギュラー中唯一の3年だが、予選は外された。「燃えるタイプ。うっぷんは京都にぶつけるはず」という鈴木監督の策だった。監督の期待通り、蛯江は体全体で前進するような力強い走り。昨年、前半に飛ばしすぎて失敗した経験を生かし、今回は抑え気味に行って徐々に差を詰め、作戦通り、西大路通りの下り坂が終わる2.3キロで鈴峯女子の中川をとらえた。逆転ドラマはここで終幕を迎えた。
「みんなが僕の期待に応えてくれた」と鈴木監督。3年前の優勝も雨中のアンカー勝負での逆転劇。市船橋の少女たちは、雨の京都に似合うようだ。
【堂馬 隆之】