女子第12回大会の記事

【毎日新聞社紙面より抜粋】

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立命館宇治が初V

初優勝のテープを切る女子・立命館宇治の阪田
初優勝のテープを切る女子・立命館宇治の阪田

立命館宇治が1時間8分5秒で初優勝を果たした。2区でトップに立ち、昨年、左足の痛みで欠場した立命館宇治のアンカー阪田直子が、区間賞を奪う力走でリードを守り、男女を通じて地元京都勢として初めて大会を制した。

昨年、1秒差の2位に終わった須磨学園は2位、予選タイムでトップだった諌早は3位だった。

■ レース評

立命館宇治 圧勝初V

2区で首位に立った立命館宇治がそのまま逃げ切った。1区は青森山田のワゴイに7秒遅れの2位だったが、2区の北野が下り坂を利して逆転。2位に20秒以上の差をつけて3区へとつないだ。3区でややリードを詰められたものの、アンカー・阪田が区間賞の快走を見せて圧勝した。1区で8位と出遅れた須磨学園は4区で千本が2位に浮上。5区の田顔が諫早・福田に競り勝って2位を守った。諫早は終盤リズムが崩れて3位。昨年の覇者・筑紫女学園は1区で22位と大幅に遅れながらも、着実に順位を上げ、5区長尾の6人抜きで7位入賞を果たした。

阪田力走「1番」- けがに耐えたエース

2位との差は18秒。トップで中継点に駆け込んだ立命館宇治の4区・石橋が言った。「直ちゃん、絶対行けるから頑張って」。アンカーのエース阪田直子は、タスキと一緒に、最高の舞台を用意してくれたメンバーの気持ちをしっかりと受け取った。「ありがとう」。笑顔で答えた後は、もう突っ走るだけだった。

3,000メートルのジュニア日本記録を持つ阪田にとって、今年はつらい1年だった。昨年の大会は直前に左足付け根を痛めて欠場。チームは4位に終わった。5月に本格的な練習を始めたものの、10月の国体で再び故障。初めて「陸上を投げ出したい」と思った時期もあった。だが、それでも黙々と練習に励む主将の姿を、チームメートは見ていた。

「阪田さんがいなかったら、今の私はいなかった」という1区の2年生・池田は、一番苦しいラストの上りでスパートする留学生に食らいつき、トップと7秒差の2位でつないだ。昨年も2区で11人抜きを演じている北野は、すぐにトップを奪い、2位に21秒差をつける快走。追いすがる須磨学園に比べ、若干劣るとみられたが、3、4区でも金指、石橋がリードを守る。

「4区までプラスマイナス20秒差なら大丈夫」という荻野監督の期待通りの展開だった。「できるだけ差を広げてタスキを渡したかった。直ちゃんに、ゴールテープを切ってもらいたかったから」と石橋は全員の気持ちを代弁した。

「この場所で走れるなんて。それも先頭で」。走れる喜びを区間賞の走りで表現して見せた阪田が、右手を「1番」と高々と突き上げてゴール。1カ月以上前から、このシーンしか頭に浮かばなかったという荻野監督と、しっかりと抱き合った。これまで2度の2位など入賞8回。名門チームの悲願の初優勝は、エースの故障が強めたチームの絆がもたらした。

【木下 洋子】

◎ トピックス

最多入賞記録更新

中京大中京が初出場初入賞(6位)

筑紫女学園が最多入賞記録更新

今年は7位で10回目の入賞


米子商が鳥取県勢初入賞

前回出場した第10回大会(98年)の53位から8位に飛躍。鳥取勢の最高記録は第8回(96年)の八頭の20位。山陰勢としても初の入賞