女子第14回大会の記事

【毎日新聞社紙面より抜粋】

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筑紫女学園3年ぶりV

3年ぶりに優勝した筑紫女学園のアンカー稲富
3年ぶりに優勝した筑紫女学園のアンカー稲富

筑紫女学園が3年ぶり3回目の優勝を果たし、埼玉栄の最多優勝記録に並んだ。筑紫女学園は4区の浦田が区間賞の快走で逆転して逃げ切きった。

2位の神村学園は県最高の順位を昨年よりさらに一つ上げ、須磨学園は3位に食い込んだ。昨年優勝の諌早は、1区8位の出遅れを取り戻せず、4位だった。

■ レース評

筑紫女学園 力まず 4区で逆転

女子4区 神村学園の石原(右)を抜いてトップに出た筑紫女学園の浦田
女子4区 神村学園の石原(右)を抜いてトップに出た筑紫女学園の浦田

4区で先頭に立った筑紫女学園が後続を突き放した。1区の長尾はハイペースで飛ばすワゴイ(青森山田)の後ろの第2集団につけて区間2位。2、3区でも区間3位と安定した走りで徐々にトップとの差を縮めた。たすきを受けて600メートルで先頭に立った4区・浦田は、残り1キロでスパート。粘る神村学園に8秒差をつけると、アンカー稲富はさらに差を広げた。

2位の神村学園は2区の前島が6人抜き。巧みなコーナーワークで先頭に立ったが、終盤粘れなかった。須磨学園は9位スタートの3区から猛追。アンカー勝又は区間賞に輝き、諫早との3位争いも制した。

諫早は1区・松元が前で転倒した選手に巻き込まれ、終盤も伸びなかった。千原台は4人が区間6位以内の安定感が光り、5位に。近畿大会を制した立命館宇治は1区19位と昨年同様に出遅れたのが響き、8位に終わった。

「信頼されている」 理想の展開

筑紫女学園は1区からレース展開を味方につけた。青森山田のワゴイが一気に飛び出したため、長尾は照準を神村学園の岩元、諫早の松元、由良育英の蘆田の3人だけに絞ることができたのだ。気負いはない。「4キロまではウオーミングアップ感覚で蘆田さんについて行っただけ。最後の坂で抜け出したら、以外に誰もついてこなかった」。長尾は淡々と、日本人トップになった走りを振り返った。

先週の月曜。「どこがいい?」と河村監督に聞かれた長尾は、迷わず1区を志願した。水曜に監督からオーダーが発表され、希望がかなった。「私を信じて使ってくれたのがうれしかった。信頼されている、と感じた」という。

1区で主導権を握った筑紫女学園は、ぐっと楽になる。4区の浦田が残り1キロ付近からロングスパート。しぶとく食らい付いてきた神村学園の石原を振り切った時、「優勝」の2文字が、はっきりと見えた。力強いフォームを最後まで崩さず、先頭でゴールを駆け抜けた稲富は、長尾と並ぶ2枚看板。その稲富も、長尾と似た言葉を口にした。「アンカーは本当は苦手。でも、アンカーに選んでもらえるまでに、私も成長したのかな、とうれしかった」

1区で流れを作り、スピードランナーを配した4区でトップへ。そして、2枚看板のもう1枚で逃げ切る。思い通りのレースを展開した河村監督も「私は3位以内で、と言っていたんですよ」と気負いは感じさせない。決して力まず、決して入れ込まず。それでいて選手を「その気」にさせる監督の手綱さばきに支えられ、自然体でレースを走りぬいた筑紫女学園が、埼玉栄と並び女子最多の3度目の栄冠を手に入れた。

【栗林 創造】