女子第15回大会の記事

【毎日新聞社紙面より抜粋】

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須磨学園初V

初優勝のゴールテープを切る須磨学園のアンカー脇田茜
初優勝のゴールテープを切る須磨学園のアンカー脇田茜

記念大会で地区代表11校を加えた58チームが出場した女子は、須磨学園が2区でトップに立ち、歴代4位の1時間7分46秒で初優勝を飾った。須磨学園は全5区間中3人が区間賞を奪う力走で悲願を果たした。

諌早は安定した走りで2位。記念大会で出場した地区代表勢が活躍し、初出場の県西宮、戸畑商が3、6位に入った。昨年の覇者、筑紫女学園は1区の出遅れた響き、5位にとどまった。

■ レース評

須磨学園歓喜5年分-2区から3連続区間賞

女子1区で日本人4年ぶりの区間賞を奪った興譲館の新谷
女子1区で日本人4年ぶりの区間賞を奪った興譲館の新谷

2区で先頭に立った須磨学園が、危なげなくリードを守り切った。1区で興譲館に11秒差をつけられたが、2区・藤本が残り1キロで先頭を奪った。その勢いで2~4区の3連続区間賞。後続を寄せ付けなかった。

一昨年優勝の諫早は、期待していた3、4区で差を詰められず、2位を死守するのがやっと。県西宮はアンカー有馬が3人抜きを演じて初陣を3位で飾った。

4位の立命館宇治は3区で2位に浮上したが、終盤に粘りを欠いた。連覇を狙った筑紫女学園は13位だった1区の出遅れが響いて5位。初出場の戸畑商は2区・森川の8人抜きの快走もあり、6位に入った。

興譲館は1区で新谷が区間賞を奪った後も大きく順位を落とすこともなく、7位で初入賞。仙台育英は区間30位の2区がブレーキとなり、8位だった。

「あと一歩」の悔しさ結実

トップで駆けてくる藤本の姿を見て、3区の岸本は驚いた。「かなりびっくりしました。かえって緊張した」。それもそのはず。長谷川監督のプランは「3区でトップに立つ」だったから。予想以上のレース運びで優勝を勝ち取った須磨学園の選手らを迎え、長谷川監督は1区の勝又を勝因に挙げた。「自分よりもチームのことを優先し、落ち着いて走ってくれた」

青森山田のモンビら留学生たちのペースが上がらない。そこで勝又は、ライバルと目していた筑紫女学園・野原をマークすることに切り替えた。結果的には、「いずれ落ちてくる」と思っていた興譲館の1年・新谷に区間賞をさらわれたが、仙台育英のカリウキと1秒差の4位。何よりも諫早の牧島、筑紫女学園の野原よりも前でタスキを渡すことができた。「自分の走りは87点。でも、ポジション取りは満点でした」と勝又。2区の藤本は県西宮の斎藤を2.5キロ付近で突き放す。あとはゴールまで一直線だった。「1年生に負けたのが悔しい」と勝又が話せば、藤本も「13分を切りたかった」。個々の走りに悔いは残しても、チームで勝利を収めれば、それも帳消し。これが駅伝の喜びだ。

勝又の冷静なポジション取りを指して、長谷川監督は「これまでの経験が生きた」とレースを総括した。第11回大会から、2位、2位、4位、3位。優勝争いに毎年絡みながら、あと一歩のところで栄冠を逃してきた須磨学園が、募る勝利への思いをタスキでつないだレース。全国大会の夜は毎年、宿舎でクリスマス会を開く。それが初めて、祝勝会になった。

【栗林 創造】

◎ トピックス

県西宮、初出場3位

県西宮は初出場で3位入賞を果たした。区間2位の好走を見せたアンカー有馬が6位から3位に押し上げた。ゴールに入る際は小さくガッツポーズ。有馬は「入賞できればいいと思っていた。まさか3位になれるなんて」と満面の笑みを見せた。同校卒業生には今年夏の世界選手権女子マラソン4位の坂本直子(天満屋)がいる。大会前には合宿先の米国から激励の手紙を送ってくれたという。有馬は「(アテネ五輪を目指す)先輩の応援のためにも、全国大会で活躍したかった」と話し、世界で戦う先輩の期待に見事に応えた。

Qちゃん激励

地元・立命館宇治はトラック勝負で順位を落としたものの4位入賞。3区で区間賞を奪った樋口の快走が大きかった。樋口は前半飛ばして後半はバテ気味だったが、ラストの上り坂で同級生の応援を受け「力が出た」とスパート。3人抜きの2位でタスキを渡した。選手全員が前夜、卒業生の千葉真子や、千葉と一緒に練習する高橋尚子らから電話で激励を受けた。「楽しんでやって、と言われた。前だけを見て走れた」と樋口。荻野監督は「激励が追い風になった」と喜んでいた。