女子第21回大会の記事

【毎日新聞社紙面より抜粋】

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豊川2年連続V

連覇を果たし、Vサインの豊川・ムルギ選手
連覇を果たし、Vサインの豊川・ムルギ選手

豊川が1時間8分27秒で2連覇。1区・伊沢(3年)、5区・ムルギ(1年)をはじめ、全員が安定した走りを見せた。女子の連覇は仙台育英(5、6回大会)、埼玉栄(7~9回大会)に次いで3校目。

2位は須磨学園、3位は興譲館。

■ レース評

興譲館出遅れ3位

豊川は全5区間のうち、4人が区間1、2位に入る総合力の高さで逃げ切った。

1区の伊沢が5キロ手前で先頭に立ち、2位に2秒差のトップで流れをつくった。2区で千原台に抜かれたが、3区の鈴木が5秒差を逆転。4区の下村もトップを譲らず最後はムルギが突き放した。区間途中で並走しても、中継所手前では前に出る勝負強さも光った。

2位の須磨学園は、3区・中新井が豊川に4秒差まで詰め寄ったが、押し切れず。興譲館は1区で12位と出遅れたのが響いた。

豊川 抜かせぬ覚悟 「首位でムルギへ」初心の笑顔

3区0.7キロ付近、豊川の鈴木(手前左)が千原台の甲斐を抜いて先頭に立つ
3区0.7キロ付近、豊川の鈴木(手前左)が千原台の甲斐を抜いて先頭に立つ

切り札を出す前に、豊川は連覇を決定づけた。4区・下村はラスト500メートルで須磨学園・原を一気に突き放し、6秒のリードを奪って最終5区につないだ。「故障で苦しんだ1年だったけれど、全国の舞台で最高の走りができた。たすきを渡した瞬間、勝ったと思いました」。みるみる小さくなるムルギの背中を頼もしく見送った。

留学生で勝ったとは言わせたくなかった。トップで5区につなぐことは、チームのひそかな目標だった。エース区間の1区で流れを作ったのはただ一人の3年生・伊沢。終盤のスパートでライバルを振り落とし、「狙っていた」という3年連続の区間賞を達成した。

勢いを得た下級生は、後続の追い上げにもひるまず粘りの走り。「4区までで、豊川に30秒差をつけたい」という他の有力チームのもくろみを崩した。

選手は10、11月と、連覇の重圧に押しつぶされかけていたという。「『陸上を楽しむ』という初心を忘れるな」。森監督の助言で、何とか大会に調子を合わせることができた。

「心細いときもあったけれど、みんなの支えでここまでやってこられた」と振り返る伊沢を、「よく頑張った。120点をやりたい」とねぎらった森監督。全員の満面の笑みが、レースを存分に楽しんだことを物語っていた。

【田内隆弘】