女子第22回大会の記事

【毎日新聞社紙面より抜粋】

現在の校名・旧校名一覧

興譲館 5年ぶりV

5年ぶりの優勝を決め、笑顔を見せる興譲館の赤松真弘
5年ぶりの優勝を決め、笑顔を見せる興譲館の赤松真弘

興譲館が1時間7分50秒で5年ぶり2回目の頂点に立った。3区でいったん先頭の座を譲ったが、4区の赤松弘(3年)が再逆転して逃げ切った。

豊川は2位で3連覇を逃し、3位に仙台育英が入った。

■ レース評

須磨学園 失速8位

興譲館が層の厚さを生かし、4区で逆転した。1区の菅が2位に6秒差をつけて先頭に立ち、優位に進めた。3区で須磨学園に抜かれて8秒差の2位に後退したが、4区の赤松弘が1.7キロ付近で再びトップを奪った。2位に12秒差でたすきを受けた5区の赤松真は、豊川・ムルギ、仙台育英・ワイディラの追い上げにも冷静にピッチを刻み、日本選手トップの区間3位の走りで逃げ切った。2位の豊川は1区で11位と出遅れ、波に乗り切れず。須磨学園は終盤に失速して8位だった。

つなぐ双子 興譲館 風を切る

4区2.5キロ付近、須磨学園の原を引き離す興譲館の赤松弘(右)
4区2.5キロ付近、須磨学園の原を引き離す興譲館の赤松弘(右)

興譲館の4区・赤松弘がたすきを受けた時点で、先頭の須磨学園とは8秒差。「どんな展開になっても自分の走りをしようと思っていた」。冷たい風を切ってグイグイ追い上げ、アンカーの双子の妹・赤松真につないだ時点で逆に12秒の差をつけた。

「行けよ」。姉に背中を押された妹は、着実にペースを刻んだ。豊川、仙台育英の留学生による追い上げも、遠い背後での出来事に過ぎない。「控えも含め、17人全員で最高の舞台にしたかった」。胸の校名を指してから、笑顔でフィニィシュした。

苦しい時期を乗り越えた。高校総体後に右かかと痛に苦しんだ赤松弘は、県大会を欠場した。「焦りはあったが、皆の支えで心は折れなかった」。赤松真は昨年1区で転倒し、失速。「あの失敗のリベンジを果たしたかった。前の4人がいい位置でつないでくれたので、最後は楽しく走れた」と胸を張った。

05年の初優勝の後は2位、3位、2位、3位と惜敗続き。「1回はまぐれで勝つこともある。2回目に勝つことの苦しさを味わってきた」と森政監督。それだけに万全の態勢で臨んだ今回に期するものがあった。

胴上げで4度宙に舞うと、相好を崩した。「この感覚、忘れとった。ホッとして涙も出ません」。

【田内 隆弘】