女子第23回大会の記事

豊川 2年ぶりV

優勝のテープを切る豊川のワイナイナ・ムルギ
優勝のテープを切る豊川のワイナイナ・ムルギ

豊川が1時間7分29秒で2年ぶり3回目の優勝を果たした。豊川は、埼玉栄(埼玉)、筑紫女学園(福岡)とともに大会最多優勝回数、また、女子では初めての区間賞なしでの優勝(男子は過去6回)となった。連覇を狙った興譲館は、序盤でリードを広げることができず2位、仙台育英が3位に続いた。

■ レース評

豊川 雪辱を果たす

区間賞はなかったが、全選手が区間上位の走りを見せた豊川が4区で首位に立って逃げ切った。豊川は1区の安藤が1秒差の3位につけると、2区の宮田がトップに浮上。3区では須磨学園に逆転されたが加治屋は3秒差の2位で粘り、4区の福沢が再浮上すると、アンカーのムルギが安定した走りでフィニッシュ。連覇を狙った興譲館は1区の菅が区間6位と、序盤でリードを広げることができず、徐々に追い上げたが及ばなかった。

初の区間賞なしV

豊川の福沢 4区で須磨学園の浅野を追い抜く
豊川の福沢 4区で須磨学園の浅野を追い抜く

両手を突き上げてフィニッシュした豊川のムルギを、森監督は満面の笑みで出迎えた。「最後まで不安だった。この1年、みんなで頑張って練習してきたおかげ」。豊川の勝利を決定づけたのは、5区間中最も距離の短い“つなぎ”の2区間だった。

3区は1年生の加治屋。たすきを受けて500メートルほどで、高校総体千五百メートルを制した須磨学園・福田有に追いつかれたが、「相手はラストが強いから、背後についておいて早めに前に出ようと思った」と臆せず競り合った。最終的に突き放されたものの、3秒差で踏みとどまった。

4区の福沢は過去2年、故障がちで都大路を踏めなかった3年生。しかし、「メンバー入りしたことで終わりじゃない。結果を出すことに意味がある」。小気味よいピッチで再びトップを奪うと、ムルギに8秒ものリードをプレゼントした。

レース前、実は不安を抱えていた。高校総体三千メートルを2連覇したムルギが、1週間前に体調を崩していたのだ。「ワイちゃん(ムルギ)に負担をかけないようにしよう」。主将・安藤の呼びかけに、チームは結束した。

23回を数える大会で区間賞ゼロでの優勝は初めてと聞き、「全員の力で勝てたのがうれしい」と森監督。各選手が安定して力を発揮できることが、その強さの源だろう。

【田内隆弘】