女子第27回大会の記事

初優勝 35秒差アンカー逆転

1位でゴールする世羅の向井選手
1位でゴールする世羅の向井選手
 優勝タイムは1時間7分37秒。世羅は10回目の出場で初めて頂点に立った。前回3位の常磐(群馬)が2位、前回優勝の大阪薫英女学院は3位だった。
 世羅がアンカーで逆転勝ち。1区の小吉川が1位でたすきをつなぐと、2、3区で2秒差の2位と好位置をキープ。4区でトップと35秒差の4位に後退したが、アンカーの向井が区間賞の走りで先行するチームを抜き去った。常磐は4区・新井が区間2位の好走で順位を2位に上げ、5区で一時、先頭に立ったが、最後は粘れなかった。昨年優勝の大阪薫英女学院は1区で14位と出遅れたが、2区以降は全員区間5位以内と好走し3位。2~4区で1位だった西脇工は5区で崩れた。

■ レース評

女子初V、エース頼み脱却

トップに立つ世羅の向井
トップに立つ世羅の向井
 これまで優勝とは、見ているだけのものだった。「本当に優勝したのかな」。半ば疑心暗鬼で涙する選手たちを横に、世羅の岩本監督は「ちょっと出来過ぎ」。過去最高が10位だったチームの優勝に、指導者も驚きを隠せなかった。
 首位の西脇工から遅れること35秒。4位で最終5区にたすきが渡った。アンカーの向井は「厳しいかなと思った」と振り返る。しかし、等間隔に前を走る選手がいるなど展開にも恵まれ、次々と前方のランナーの背中をとらえた。
 「トラック勝負も考えていた」というが、取り越し苦労だった。3.7キロ付近で首位・常磐に追い付き、「後ろで走ろうと思ったが、体力はまだある」と一気に前へ。常磐の米谷を31秒上回る区間賞の走りで、差をみるみるうちに広げた。
 優勝への流れを作ったのは1区区間賞の小吉川。そのエース頼みだった昨年から大きく変わったのが、向井の成長だった。「憧れ」という小吉川に追い付こうと、地道に筋トレや補強運動を続けた。5000メートルの自己記録を昨年の16分20秒から15分31秒に伸ばし、ベストタイムは小吉川の上を行くほどになった。
 「男子ばかりで悔しかった」と選手たちが口をそろえる男子の強さも財産になっている。同じ練習をこなし、一緒の集団でペース走も走ってきた。「男子だけじゃなくて女子も強いんだぞ」と向井。最多優勝回数を誇る男子の陰にひっそりと隠れていた女子が、ようやく大輪の花を咲かせた。【丹下友紀子】