女子第28回大会の記事

大阪薫英女学院 2年ぶりの栄冠

1位でフィニッシュする大阪薫英女学院の竹内ひかり選手
1位でフィニッシュする大阪薫英女学院の竹内ひかり選手
 大阪薫英女学院が1時間7分24秒で、14年に大阪勢として初優勝以来、2年ぶり2回目の頂点に立った。
 中盤で大きく前に出た大阪薫英女学院が圧勝した。トップと37秒差でたすきを受けた2区の高松が、残り1キロ弱でトップに並んでつないだ。続く3区の村尾は1.2キロ付近でトップに立つと、区間賞の走りで後続を引き離し、4区の中島も区間賞の快走でリードを広げ、そのまま逃げ切った。2位はトラックでのアンカー勝負を制した西脇工(兵庫)。3位の神村学園(鹿児島)は序盤の出遅れが響いた。昨年優勝の世羅(広島)は1区を2位でつないだものの、2、3区で崩れた。

■ レース評

エース復調で中盤厚く

3区1.5キロ付近で力走する大阪薫英女学院の村尾綾香(左)。右は長野東の高安結衣
3区1.5キロ付近で力走する大阪薫英女学院の村尾綾香(左)。右は長野東の高安結衣
 大阪薫英女学院のアンカー・竹内の眼前に誰もいないトラックが飛び込んできた。スタンドの大歓声を独り占めにしながら、2位・西脇工に半周以上の差をつけての圧勝に「爽快だった」。2区で先頭に立ってから一度もその座を譲らず、2度目の優勝を飾った。
 37秒差を一気に縮めて首位でたすきをつないだ2区・高松の快走もさることながら、安田監督が勝因に挙げたのは、「自信があった」と言う3、4区の“つなぎ”区間だ。
 タイム差なしの1位でたすきを受けた3区の村尾は、1.2キロで並走する長野東・高安の前に体一つ抜け出すと、ぐんぐん差を広げて独走態勢を築いた。続く4区・中島も貯金を26秒差に広げる。ともに区間賞の走りで、他チームの追随を許さない盤石のレース運びだった。
 当初、村尾は1区を走る予定だった。エース嵯峨山が今秋の予選前に右膝を痛めて万全の状態ではなかったからだ。だが幸運にも嵯峨山が順調な回復ぶりをみせ、3000メートル9分15秒とチーム2番目の記録を持つ村尾が3区(3キロ)に回ることが可能になった。「3区なら負けるわけがない」と村尾。エース区間で耐え、3、4区に突き放す選手が控える。選手層の厚さこそが強さの秘密だった。
 「後輩たちは優勝を味わっていない。だから、このメンバーで優勝したかった」。チームで唯一、2年前の日本一を経験した嵯峨山は言う。優勝の味を次世代に伝えていく――。【丹下友紀子】