女子第36回大会の記事
女子レース経過

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女子の1位でフィニッシュする長野東の田畑陽菜選手 |
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■ レース評
◇つなぐ長野東、完全制覇 激戦3区、猛追しのぐ トップ譲らず

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3区、先頭で力走する長野東の窪田舞 |
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最短3キロの3区は、例年「つなぎ区間」に位置づけられてきた。しかし、今大会からルール変更で留学生が集まる区間になった。長野東の横打史雄監督は、3区を重要視し、「責任感があり、プレッシャーに強い」と経験豊富な主将の窪田に託した。 1区の2年・真柴愛里が区間賞、2区の1年・川上南海が区間2位と好走。後続に17秒のリードを得て、たすきを受けた窪田は「絶対にトップでつなぐ」。他チームの留学生たちの猛追にも落ち着いて走り、トップを守った。4、5区の後輩が流れを受け継いで逃げ切った。
2年前は、唯一の1年生として2区を走り、チームの初優勝メンバーになった。しかし、昨年は連覇のプレッシャーから上位争いに加わることができず、5位だった。最終学年では、1、2年生主体のチームを引っ張ってきた窪田に対し、横打監督は「本当に大きく成長した」と目を細めた。
今回、走ったメンバーで窪田を除く4人は、2年生2人と1年生2人。「来年も自分たちらしい駅伝をしてくれれば」と話す窪田の思いを継ぐように、4区で窪田からたすきを受けた1年の今井玲那は「来年、再来年も優勝して連覇でつなぎたい」。長野東の時代をここから作っていく。【高橋広之】
◇仙台育英、3年連続2位 リベンジ、後輩に託す
出番を待つ仙台育英のアンカー・細川あおいの頭に、2年分の思いが駆け巡った。たすきを受け取った時点で、トップの長野東とは31秒差の3位。「抜けるのは自分しかいない。借りを返す」2大会連続、最終5区で逆転されて2位。前回は神村学園に1秒差で敗れた。前々回は1年生だった細川がリードを守れず、長野東にひっくり返された。 最後の都大路、主将の細川は最初から飛ばした。残り1キロ付近で、2位の薫英女学院を一瞬で抜き去る。トップに照準を絞り、歯を食いしばった。 しかし、差を縮めたものの、優勝には届かず。「申し訳ない」とレースから1時間後もおえつが止まらなかった。
1秒の差を覆すための1年だった。「突き抜ける力を付ける」をテーマに練習内容はもちろん、食事や練習後のケア、睡眠時間に至るまで細かく突き詰めた。 釜石慶太監督は「申し分のない取り組みをしてくれた」としつつ、「ミスがあったことはチーム全体で考え直さないといけない」と2、3区での遅れを指摘した。 雪辱は果たせなかったが、8年連続3位以内という成績は誇っていいはずだ。細川は後輩に向けて「プレッシャーに負けずに来年、もう一度リベンジしてほしい」とたすきを握りしめながら声を震わせた。【生野貴紀】
◎ トピックス
◇16人抜き、区間賞 久保凜 東大阪大敬愛・2年
トラックを離れても抜群の存在感を放った。女子800メートル日本記録保持者で東大阪大敬愛の久保凜(2年)が、2区で16人抜きの快走を見せてチームの初入賞に貢献した。
本職の800メートルの5倍超の4・0975キロの距離にも不安はなかった。21位でたすきを受けると「自分は前を追うだけ」。序盤の上りから着実にリズムを刻み、下りが続く後半に加速した。2006年大会で小林祐梨子さんが須磨学園時代に出した2区の日本選手の最高記録には12秒届かなかったが、区間賞を獲得して5位まで浮上した。流れに乗ったチームは3区以降も踏ん張り、6位に入った。初出場した前回大会の35位から大きく順位を上げ、野口雅嗣監督は「久保がかなり攻めたレースをしてくれた」とたたえた。
サッカー日本代表の久保建英(レアル・ソシエダード)のいとこで、今年7月に800メートルの日本記録を19年ぶりに更新して多くの注目を浴びた。重圧を感じたが「『久保さん頑張れ』と沿道からたくさん声を掛けてもらい、幸せな気持ちで走っていた」と大声援を力に変えた。前回大会は直前に盲腸になって欠場しただけに、今大会に懸ける思いは強かった。「一緒にたすきをつなぐ仲間がいるから頑張れるのが駅伝のいいところ。自分もすごく楽しかった」。初の都大路に充実感をにじませた。【下河辺果歩】
本職の800メートルの5倍超の4・0975キロの距離にも不安はなかった。21位でたすきを受けると「自分は前を追うだけ」。序盤の上りから着実にリズムを刻み、下りが続く後半に加速した。2006年大会で小林祐梨子さんが須磨学園時代に出した2区の日本選手の最高記録には12秒届かなかったが、区間賞を獲得して5位まで浮上した。流れに乗ったチームは3区以降も踏ん張り、6位に入った。初出場した前回大会の35位から大きく順位を上げ、野口雅嗣監督は「久保がかなり攻めたレースをしてくれた」とたたえた。
サッカー日本代表の久保建英(レアル・ソシエダード)のいとこで、今年7月に800メートルの日本記録を19年ぶりに更新して多くの注目を浴びた。重圧を感じたが「『久保さん頑張れ』と沿道からたくさん声を掛けてもらい、幸せな気持ちで走っていた」と大声援を力に変えた。前回大会は直前に盲腸になって欠場しただけに、今大会に懸ける思いは強かった。「一緒にたすきをつなぐ仲間がいるから頑張れるのが駅伝のいいところ。自分もすごく楽しかった」。初の都大路に充実感をにじませた。【下河辺果歩】