男子第3回大会の記事

【「全国高等学校駅伝競走大会 50年史」(全国高等学校駅伝競走大会実行委員会・2000年5月発刊)より抜粋】

現在の校名・旧校名一覧

玉名が初の42.195キロ優勝

1位でゴールする玉名・田尻
1位でゴールする玉名・田尻

高校生の肉体面の未発達を理由に、距離規制をしていたGHQ(連合軍総司令部)が廃止されたため、レース距離が1区10キロを含む現行の7区間42.195キロに変わった。

初出場の玉名が初のフルマラソンコースを2時間18分42秒で制した。玉名は第1区で3位につけ、2区でトップに立って、そのまま押し切った。区間賞は一人も取れなかったが、各選手の安定した力が優勝をもたらした。2位に昨年7位の深志定時制、3位に同6位の川越が入り、3連覇を目指した世羅は前半の出遅れが響いて4位にとどまった。

■ レース評

区間賞ゼロで頂点へ

毎日新聞大阪本社前をスタートする選手たち
毎日新聞大阪本社前をスタートする選手たち

各校ともエースを投入した1区はスピードあふれる先頭争いが展開され、宇部の藤井が31分37秒でトップ。川越、玉名、深志定時制が続き、世羅は29位と出遅れた。2区で玉名の岡村が宇部、川越をかわして先頭に立ち、深志定時制、生野も宇部を抜いて3、4位に浮上した。3区で川越、深志定時制が失速したため、玉名は2位の中京商に48秒、約250メートル差と独走態勢を築いた。世羅は14位まで上がったが、優勝圏内には程遠い。4区に入ると、玉名の一瀬が区間2位の快走で首位をキープ。7位だった深志定時制が中京商、川越、生野などを抜いて2位に躍り出た。5区で玉名は南部が再び区間2位の走りをみせて 6、7区も手堅くまとめ、深志定時制に1分37秒差をつけて初出場初優勝を果たした。玉名のほか、2位の深志定時制、3位に川越も区間賞なしで上位に食い込んだ。一方、2人の区間賞を出した世羅は懸命に追い上げたが、4位に入るのがやっとだった。

◎ トピックス

仕事、勉強、運動もOK

第3回高校駅伝開会式
第3回高校駅伝開会式

2位の深志定時制は46チーム中、ただ1校の夜間高校。7人とも夕方まで農業や新聞社、飲食店、雑貨店などで働き、午後5時半から9時過ぎまで授業を受けた後1時間程度、学校の周囲や松本市内で練習を積んできた。この成果が昨年の7位を上回る健闘に結びついた。山下監督は「選手の中には2人も優等生候補がいる。毎日少しずつの練習は本当に楽しいものですね。職業、学業、スポーツの兼ね合いなんて難しいものじゃありませんよ」と誇らしげに語った。

九州勢が健闘

優勝した玉名をはじめ、九州勢の健闘が目立った。初陣の小倉南が5位、泉ヶ丘が8位入賞を果たしたほか、11位西海学園、12位加世田農など好成績を挙げた。これに対して、マラソンでは伝統を誇る四国は、笠田の32位を最高に、いずれも最下位に近い成績に終わった。

84キロの長距離予選も

今大会からレース距離が変わったが、各都道府県の予選では対応は分かれた。大阪など21都道府県が42.195キロで行ったが、福島県の84.4キロ、山口の81.3キロの長距離コースを使用したところもあれば、岩手県のように38.5キロのやや短いコースを使用したところもあった。また、兵庫県予選では昨年の全国3位の飾磨工がトップでゴールインしながら、選手に伴走車などがついたことから失格になる出来事もあった。