男子第13回大会の記事
大濠が新コースを制覇
1位でゴールインした森本・福岡大大濠 |
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激増の一途をたどる交通量に、ついにコースは大阪府を飛び出し、奈良県へと延びた。その新たな「毎日マラソンコース」を、初出場の福岡大大濠が制した。
大濠は1区から鹿児島実と競り合ったが、急勾配のある3区でトップを奪い、鹿児島実、広島電機に追われながらも、折り返し後は一度も首位を譲らず、アンカー森本が観衆の拍手に迎えられてゴールに飛び込んだ。難コースといわれたが、2時間14分を破り、第11回に小林が記録した2時間13分17秒に迫る好記録だった。
■ レース評
初出場、上り坂から快走
折り返し点をトップで走る福岡大大濠3区の藤田 |
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1区を制したのは、鹿児島実の磯端。大濠・福盛を1秒差でかわした。2位の福盛、3位の川越(伊香)までが30分台をマークするハイレベルの争い。
鹿児島実と大濠の競り合いは2区でも続くが、鹿実、・山下のスピードが徐々にさえ、大濠・永田を引き離す。15秒の差をつけて3区へ。
上り坂となる3区から大濠の快走が始まった。鹿実・池田と約70メートル差でタスキを受けた藤田はじりじりと追い上げ、峠を越えるあたりで並ぶと一気にかわして折り返し、逆に16秒差をつけて4区へつないだ。3位以下は広島電機、中京商、関西の順。
大濠は下り坂の4区で、尾石がさらに差を広げる。追う鹿実は広島電機に抜かれ3位に後退した。5区で鹿実は狩川が頑張って2位に回復。大濠・吉川に迫るが、36秒遅れで残り2区間。6区では差は縮まらず、最終7区へ。しかし、大濠の森本は、鹿実、山口の区間賞を奪う追い上げを振り切り、2時間13分57秒8でゴールイン。3位は広島電機が、中京商を降して確保。高松商が10位に食い込み、四国勢として初の入賞を果たした。
高低コースで練習を
堺市蔵前町付近を一団となって通過する選手団 |
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従来のコースに比べて、前半の往路は3区が相当な上り坂のため、記録的には1分近く悪いタイムを予想していたところ、折り返し点は1時間5分46秒という快速でまず驚かされた。この調子では後半は下り坂であり、前半の3人を4人で受け持つのだから、従来の2時間13分17秒を大幅に更新するものと見守っていた。ところがいやな向かい風の上に西日をまともに受けたため記録は伸び悩み、さすがの大濠高も予選で出した2時間11分49秒を更新しえずに終わった。
しかし、折り返しに選手泣かせの難コースを取り入れたことは、最近の中長距離の冬季トレーニングのコースが難関続きのコースであり、時宜に適したものといっていいだろう。特に3、4区の上り下りを平地並みに恐れず、好記録で走り切った3区の室田(中京商)、藤田(大濠)、4区の采谷(広島電)、また1区の磯端(鹿児島実)、福盛(大濠)、川越(伊香)などは、大学選手に劣らぬ好ランナーで、今後の活躍が楽しみである。
最近の日本マラソン第一線の好記録が、ニュージーランドの高低の激しいコースと取り組んで生まれたと見られるように、高校駅伝界も、単に3、4区走者に限らず、冬季練習で高低の激しいカントリーコースと取り組めば、記録はもっと大幅に伸びるだろう。
全国高校駅伝の本大会を境に、1区の出来ひとつで優勝の大半が制せられた時代は過ぎた。むしろ上り下りの3、4区に強い走者の養成に取り組まぬ限り、優勝は難しくなってきたことは見逃し得ない事実である。参加全選手の猛練習を望みたい。
【村杜 講平】