男子第16回大会の記事

【「全国高等学校駅伝競走大会 50年史」(全国高等学校駅伝競走大会実行委員会・2000年5月発刊)より抜粋】

現在の校名・旧校名一覧

福岡勢が1、2位独占

優勝した福岡大大濠のアンカー・田ノ上のゴール
優勝した福岡大大濠のアンカー・田ノ上のゴール

前回に引き続き、46都道府県と全国11ブロックの代表の計57校が出場。福岡大大濠が2時間10分45秒2で3年ぶり2度目の優勝を飾った。2位は北九州代表・大牟田で、同じ県の学校が1、2位を占めたのは史上初。

57チームは7区間42.195キロを若さと情熱で塗りつぶした。保善、真岡などが大あばれし1区から激戦となったが、6区から大濠と中京商の戦いに。大濠は薄(すすき)、前田、森山正の4~6区が力走、アンカー田ノ上は2位に200メートル余の差をつけてゴールインした。

■ レース評

10位まで“15分”切る

長居競技場よりスタート、一団となって力走
長居競技場よりスタート、一団となって力走

10位までが2時間15分を割るという高校駅伝史上に輝かしい成果を残した。レースは予想を超えた大混戦。西海学園、福岡大大濠、盈進、鹿児島実、中京商に、保善、大牟田、真岡など新鋭が割り込み、リードを奪った。

3区で中京商の竹内、盈進の広近、大牟田の原田が18キロすぎて一線に並び、駆け引きを許さないスパートの連続。10メートルごとに先頭を奪い合う接戦。保善、大濠がつめ、折り返し点の上位4チームの差はわずか14秒。

4区に入ると大濠の薄、大牟田の柿原が2、3位に食い込んで来た。一時は保善もトップに。だが5区で大濠が決定的なリードを奪った。大濠の前田は一気に飛び出して10、30、80メートルと瞬く間に差をあけた。6区に森山正、7区に田ノ上と、確実に走り抜ける選手をそろえていたから、2位以下は覆せなかった。

大濠にとっては期待通りのレースとはなったが、安全な勝利を目指したばかりに、待望の“大会新記録”を逃したのは惜しかった。

◎ トピックス

予選に1,700校参加

前年秋に開かれた東京オリンピックで日本勢が活躍し、陸上競技の人気も高まった。その影響もあり、第16回大会の予選参加校は過去最高だった前年(1594校)よりもさらに114校増え、1708校になった。底辺の拡大とともに記録も急上昇し、上位10校が2時間15分の“壁”を破る高速大会になった。10位の真岡の2時間14分41秒4でも、マラソンと同じ42.195キロとなった第3回(1952年)から第7回(56年)までの各大会ならダントツの優勝。以降でも2年前の第14回(63年)までなら、3位前後に入る好記録だった。

最後の大阪開催

全国高校駅伝は第1回大会(1950年)以来、大阪を舞台に行って来た。だが、交通量の増加が深刻化し、第16回大会が最後の「大阪開催」になった。地元からは大阪工大高が出場。前年大会で大阪の代表は57校中54位と苦戦したため、府高体連は「何とか面目を」と府内の長距離指導者を総動員して大阪工大高を“特訓”した。大会当日、長居競技場には同校のブラスバンドを始め関係者ら約500人が声援。選手たちは前回代表よりも6分半もタイムを縮め、順位は29位に浮上した。

記録

10年連続出場表彰

御所工=史上初