男子第18回大会の記事

【「全国高等学校駅伝競走大会 50年史」(全国高等学校駅伝競走大会実行委員会・2000年5月発刊)より抜粋】

現在の校名・旧校名一覧

中京が2連覇を飾る

ゴールインする中京のアンカー稲垣
ゴールインする中京のアンカー稲垣

アンカー稲垣選手が真っ白いテープを切って中京が2年連続3回目の優勝を達成した。特別参加の宮古農林を含む47チームが力走した。強い季節風が吹き、ゴールインの時刻には粉雪も舞う寒さ。小林、世羅、福岡大大濠などの強豪が1区で大きく遅れたが、堅実に5位でスタートした中京は2区から追い上げ、3区江川で首位に躍進すると独走、2時間11分9秒で優勝した。

2位小林、3位世羅、主力選手が風邪に苦しむ大濠は13位。2連覇は世羅(第1、2回)、筑紫野(第4、5回)、小林(第11、12回)に続いて史上4度目。

■ レース評

3区でトップ、独走

1区10キロは中津商の頭島が30分19秒の好タイムで先頭。八戸電波工、米沢中央、磐田農が続き、中京の加藤は1位から37秒遅れの5位で通過した。中京は2区平田が急ピッチで追い上げ、3位で3区の江川にタスキが渡る。

江川は足のよく上がる軽快な走法、左腕をやや外に、右手を心持ちに抱え込み、大きなストライドで先行する中津商、米沢中央を追う。あっという間に差がなくなる。まず中津商が置き去られ、米沢中央の尾形と江川の並走もわずかな時間。中継して約1.3キロ、正面に東寺の五重塔を見上げる九条通で中京は米沢中央を突き放してトップに躍り出た。真っ黒なランニングシャツからのぞく汗が冬の陽光でキラキラと輝く。江川のストライド走法はますますさえ、ぐんぐん差が開く。その差は4区の義野が中継所を走り抜け、2位の米沢中央の第4走者に中継された時300メートルとなっていた。

以後の中京はその差に守られ、4区義野、5区門田、6区清水、アンカー稲垣と全く危なげなくタスキが渡り、余裕さえ感じさせるレース展開だった。

◎ トピックス

沖縄の健闘に拍手

沖縄から来て、1区を力走する上地[47]
沖縄から来て、1区を力走する上地[47]

沖縄予選(12月3日)の時に比べ、10度以上も低い気温の中で宮古農林は健闘した。2時間28分37秒は沖縄新記録(2時間27分14秒)を出した予選に、1分23秒劣るとはいえ、極端な気温差による調整のむずかしさを考慮に入れると、美里監督が目標にしていた2時間23分に匹敵する好記録。内地チームの最下位にも及ばず、特別参加のために順位にも関係はなかったが、アンカーの仲間選手が競技場に姿を現した時、スタンドの拍手は優勝した中京にも負けないほど大きかった。その一角からうち降られる日の丸。「政治でもたついていても、ひと足先にスポーツで祖国復帰を……」。沖縄県高体連挙げての願いは、宮古農林の力走で立派にかなえられた。

よみがえる伝統

第1、2回大会に連勝、大会の草分け機に君臨した名門世羅が12年ぶりに復活。予選記録も2時間11分47秒と、予選参加チーム中の最高をマークしただけあり全国大会では3位に入った。また、過去3回優勝、3回入賞を誇る小林も3年ぶりに姿を見せ、こちらは2位に。一方、富山商、桜丘、福井農林の北陸勢がそろって初出場するなど、12校の初陣勢が、フレッシュな姿を見せた。

東北勢が健闘

前評判が高かった東北勢が予想どおりの好走を見せ、4位・米沢中央、6位・八戸電波工、10位田村の3校が入賞を果たした。米沢中央は1区を走った高校総体2位の実力者、佐藤誠が3位でタスキを渡して波に乗り、5区まで2位をキープ。八戸電波工も1区・田中が2位でリレーし、常に上位陣の一角を占め、「大会に新風を吹き込んだ」と、高く評価された。