男子第20回大会の記事

【「全国高等学校駅伝競走大会 50年史」(全国高等学校駅伝競走大会実行委員会・2000年5月発刊)より抜粋】

現在の校名・旧校名一覧

大濠独走で3回目優勝

1位でテープを切る福岡大大濠のアンカー木村(西京極競技場で)
1位でテープを切る福岡大大濠のアンカー木村(西京極競技場で)

福岡大大濠が2時間10分8秒の好記録で4年ぶり3回目の優勝を飾った。寒波の訪れで冷えたが、駅伝日和に恵まれ1区から鳥栖工、大濠、宮崎中央の九州勢が進出。大濠は2区黒岩でトップに立つと、3区川津、4区安西が次第に差をあけて独走、2位に2分6秒の大差をつけてアンカー木村が競技場のテープを切った。

2位宮崎中央、3位熊本一工以下、九州勢が5位までを独占、6位にやっと中京が入った。

■ レース評

九州勢5位まで独占

2区でトップに出た福岡大大濠・黒岩
2区でトップに出た福岡大大濠・黒岩

福岡大大濠大勝の足場は1区渡辺が築いた。1区は鳥栖工・古賀丈、秋田市立・鎌田、宮崎中央・佐藤、田村・吉田ら予想された顔ぶれに。4キロ付近から上り坂で先頭集団は15、6人だったが5.4キロで折り返して下り坂の争いは九州勢3人に絞られた。3年連続1区を走る古賀が強く、7キロで軽くスパートし振り切った。古賀の29分48秒を始め3人とも10キロを29分台で走破、6年ぶりに記録更新した。

先頭から6秒差で大濠2区は800メートルランナーの黒岩。強敵小林は1区で大ブレーキし、中京、世羅、鹿児島実など2区に好ランナーを持つチームも遅れた。黒岩は800メートルで鳥栖工を抜き、3区への中継では100メートル近くも先行した。1区でも十分務まる川津と安西を並べ3、4区で大濠は独走態勢。2位・宮崎中央に続く相原、中津商、鳥栖工、常磐に4区からぐんぐん追い上げて来た熊本一工、鹿児島実、中京などが2位争いの興味をそそった。

後半の大濠は記録よりも貯金を守ろうとした。アンカー木村も後方を全然気にせずにテープを目指した。競り合えば大会記録2時間9分28秒の突破も可能だったが、展開がこうでは責められない。

◎ トピックス

ソウル選抜、出場辞退

第20回の記念大会を迎え、韓国・ソウル選抜が外国チームとして初参加することが決まった。金寛羽・大韓陸連副会長を団長に、マネジャー、コーチ、選手の計11人が12月17日に来日、大会に備えて福岡で合宿を始めた。8月の日韓高校陸上5,000メートルと1,500メートルで優勝した姜朱権や同5,000メートル2位の洪成析らが名を連ねる強力なチームだった。ところが、当初10人の予定だった選手のうち2人が兵役、2人がけがで走れなくなり、本国から追加選手も来なかったため、ソウル選抜は19日に出場辞退を決定。金団長は「お世話いただいた皆さんには申し訳ない。大会に出場はしないが、1ヵ月の予定で合宿練習します」と語った。

歴代最北・名寄農

46都道府県(返還前の沖縄を除く)に加え、全国11地区の代表を加えた57校が走った大会。北海道地区代表の名寄農は、北海道北部の中心都市・旭川市のさらに北約60キロにあり、高校駅伝50年間で最北端の出場校になっている。冬場は氷点下40度近くまで気温が下がることはしばしば。選手の大半はスキー選手を兼ねていた。他の異色校では、PL学園定時制が大阪を勝ち抜き、初出場。結果は名寄農53位、PL56位。ともに全国レベルの高さを思い知らされた。