男子第22回大会の記事
中津商、初優勝を飾る
ゆうゆうテープを切る中津商のアンカー中江 |
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12年ぶりに最終区まで勝負を持ち越す大接戦のすえ、中津商が初優勝を飾った。4区で「伏兵」秩父農工の首位進出で興味あふれるレースとなったが、6区でライバル中京を振り切って7区に引き継いだ中津商は、アンカー中江が中継後約1キロすぎで秩父農工を抜き去り、足どりたくましく栄光のテープを切った。優勝記録は2時間11分47秒。大分県のチームの優勝も初めて。
2位は最後に秩父農工を抜いた中京、3位には健闘の秩父農工がはいり、レース前の食中毒に苦しんだ世羅は5位に甘んじた。
■ レース評
中江、最後に抜く
秩父農工のアンカー金田が最後の中継点を先頭で飛び出した。20メートル遅れて中津商の中江も……。中江は出足冷静に相手をうかがい、1キロ近く詰めも開きもせず、ついて行くと一気に勝負に出た。約300メートル金田の抵抗があったが、善戦の秩父農工もついにここで沈んだ。
1区で中津商の福田と中京の長谷川が競り合ったときは世羅の追い上げがどれだけ通じるかの興味はあったが、それ以外のチームが首位戦線に割り込むのは無理かと思われた。
しかし、1区・引間が7位で中継した秩父農工は2区で2人抜き、3区・関口は中津商と中京が抜きつ抜かれつを繰り返している間にぐんぐん進出、4区に渡すときは3位。4区・松本はオーバーペース気味の中津商と中京を次々抜いて4キロ付近で初めてトップに立った。このあと5区で少し差を広げ、6区・町田が一度中津商につかまりながら気力で再び引き離すなど優勝候補のふところ深く食い込む健闘だった。
中京が2区・浅井のオーバーペースによる失敗を3区・大崎のうまいレースで取り返した。中津商は中盤までを手堅くつないだ。
福田、期待の力走
半歩あとにひかないぞ! 中津商と秩父農工のせり合い(6区) |
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秩父農工との激しい競走に競り勝った中津商の高倉監督は「なんといっても1区・福田の快走が勝因です」と言い切った。その言葉通り福田はよく走った。最初から先頭集団にはいり、伊藤(上伊那農)、長谷川(中京)、朝倉忠(興譲館)らの強豪をけり落として“花の1区”の区間賞を取った。先頭集団にいてくれさえしたら―と考えていた高倉監督にとって、この快走は実にうれしいことだった。中津商の優勝をこの時点で決めたともいえる。
福田は、今年のインターハイ5,000メートルでは決勝に進出しただけ。注目されるような記録を出してはいない。しかし最後の高校駅伝で一番のレースをやってのけたのだ。3区で中京に、4区で秩父農工に抜かれはしたが、中江に引き継ぐまでの選手たちも福田の力走に元気づけられたに違いない。そして「彼がいるからもう大丈夫」とみんなから頼もしがられている中江がゴールまで4キロ足らずの地点で秩父農工の金田を抜いて差をつけゴールイン。
1区を走りたかった中江だが、ジン臓結石で夏休み中入院、9月から練習を再開したばかり。“花の1区”に出場を望んだが、みんなが中江の体をいたわった。中でも福田が心配して「中江は回復したばかりではないか。僕が1区でがんばる」と強調、中江を1区に、福田をアンカーにするか、オーダーを決めかねたが、福田の一言で監督のハラは定まった。そして勝った。
「タスキを受けたときに勝てると思った。オーバーペースにならないように注意したが僕が追い抜くというより、秩父の選手のペースが落ちてきたので楽だった。アンカーでよかったと思う」と言う中江。“花の1区”を走らなかったが、それ以上にすばらしい栄光のテープを中江が切った。
【笹尾 勝彦】◎ トピックス
辺土名、出場とりやめ
沖縄予選で優勝し、初出場が決まっていた辺土名チームは、全国大会出場を取りやめた。予選で2時間30分54秒の辺土名は、鹿児島で行われた九州高校駅伝で2時間25分突破を目標としていたが、2時間27分0秒かかり、参加しても内地チームとの差が大きすぎると判断した。