男子第31回大会の記事
中京商が2連覇達成
Vサインを出してゴールインする中京商のアンカーの水田、後方は2位の報徳学園・植田 |
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中京商が2時間10分7秒で2年連続2回目の優勝を果たした。大会前にけが人を出し、優勝を危ぶむ声もあったが、7人が力を合わせての連覇達成。前年同様2区でトップに立つと、以後は首位で走り、最終7区では報徳学園の猛烈な追い上げを受けたが、あわてず振り切り5秒差でゴールイン。報徳のほかインターハイ優勝の清風が7位入賞するなど、近畿勢の健闘が光った。
3位には世羅、4位・秋田経大付、5位は埼玉栄が占め、強豪ぞろいの九州勢の入賞は6位の大牟田、10位の西海学園の2校に終わった。
■ レース評
着実な走りの中京商
中京商の各走者はそれぞれ自分のペースを崩さず、着実なレースで2連覇を勝ち取った。中京商は2区で早くもトップに立った。2キロ地点。中京商・大野は2位の世羅をまず抜き去り、首位・熊本工もとらえた。3区の1年生・清水は2位・世羅に10メートル差をつけて飛び出し、その差をぐんぐん広げた。本来ならエース・森が走る区間だが、ブロック大会で転倒して左足を骨折。清水は代役だったが、見事に役目を果たし、この好走が勝利につながった。
中京商を追って4区では世羅と秋田経大付が2位を争い、5区手前ではこれを報徳学園が追い上げた。トップから4位まで10秒差で終盤へ。7区に入るとすぐ報徳は世羅、秋田と並び、やがて秋田が落ち、報徳と世羅が並走。残り1キロで報徳・植田は世羅を振り切ると、中京商・水田を追い上げ、競技場近くでは約20メートル差まで迫った。だが、水田はあわてず、競技場に入ると逆に大きなストライドでスパートをかけ、5秒差でゴールインした。
エース欠場で和を克服
ゴール間近、先頭の中京商・水田[18]に約60メートル遅れて、報徳学園・植田(左)世羅・伊藤もスパートをかける |
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ゴールまであと5キロ。逃げる中京商アンカー水田を、100メートル差で世羅・伊藤、秋田経大付・兎沢、報徳学園・植田が一団となって追う。途中で兎沢が脱落したが、伊藤と植田が水田との差をジリジリ詰めた。
「タスキを受けた時は100メートルの差があったので大丈夫と思ったけど、いつもより足が重くて心配でした」と、水田は苦しかった胸の内を明かす。足がよく伸び、安定したフォームの伊藤や植田に比べ、水田は大きなストライドの割に足が伸びない。横で見ていてもハラハラする場面だったが、水田にとってもプレッシャーは大変なものだったろう。
その苦しみは中京商・徳重監督にしても同じだった。夏休みに心筋こうそくで入院。十分な指導が出来ないまま駅伝シーズンに入り、11月30日の東海大会では3区を走ったエース・森が左足を骨折した。チームの動揺は大きかったが、このショックから立ち直れたのは「前回優勝」という自信とチームの団結だった。
1区で2位の快走を見せた平岩、1年生ながら森のピンチヒッターに起用されて初の長丁場(8.1075キロ)を首位で走りきった清水、4区でリードを広げた堀之内。みんなが「死ぬ気で走った。自分の力を出しさえすればよいと思った」と口をそろえた。
水田がV2のテープを切った時、駆け寄った徳重監督の顔はそう白だった。「7区の途中で心臓が痛くなってクスリで抑えていた。昨年もチームワークの勝利と言ったけど、今年こそ本当に和の勝利ですよ」。インタビュー攻めの徳重監督を遠くに見やりながら、優勝間違いなしと言われて6位に甘んじた大牟田・大見監督が「駅伝は怖い。みんなが力を出し切るのは本当に難しい」と唇をかんでいたのが印象的だった。
【玉置 通夫】