男子第35回大会の記事

【「全国高等学校駅伝競走大会 50年史」(全国高等学校駅伝競走大会実行委員会・2000年5月発刊)より抜粋】

現在の校名・旧校名一覧

報徳学園が2連覇

2連覇のテープを切る報徳学園の波越
2連覇のテープを切る報徳学園の波越

地区代表11校を含む58校が参加した記念大会を、報徳学園が2時間8分5秒の好タイムで制し、2年連続3回目の優勝を飾った。連覇達成は1979、80年の中京商以来4年ぶり7校目(8回目)。兵庫県勢は81年の報徳学園、82年の西脇工を含めて4連覇を記録した。2位は世羅、3位は愛工大名電。

埼玉栄が1区・山口の左足首骨折のため、第4回大会(1953年)の平塚以来、史上2回目となる途中棄権(2区以降は区間記録のみ有効)。近年低迷気味の九州勢が4校入賞し、東北、関東勢が10~13位に食い込むなど、レベルアップの波が全国に広がっていることを示した。

■ レース評

世羅、最後で2位に

ゴール寸前、世羅・三浦(右)が愛工大名電・可児を抜いて2位に
ゴール寸前、世羅・三浦(右)が愛工大名電・可児を抜いて2位に

報徳学園が底力を十分に発揮、会心のレース運びでV2を達成した。1区は清風・築田が集団を引っ張りながら早いペースで進み、7.8キロで築田に代わり秋田中央・池田ら4人がトップに。9.4キロで池田が集団から抜け出し、2区へ。由良育英、愛工大名電、宇治の順で続き、報徳学園は80メートル遅れた。

2区で愛工大名電・北野が飛ばし、1.5キロで秋田中央を逆転。世羅は12位に落ち、報徳学園も80メートル遅れの5位で3区へ中継した。3区も愛工大名電と秋田中央の競り合いが続き、報徳学園とトップとの差は180メートルもあいた。

しかし、4区で報徳学園・佐田が快調なペースで追い上げ、逆に秋田中央が遅れ出した。5区中継点ではトップの愛工大名電に15メートル差で報徳学園が続いた。

愛工大名電は5区もそのままの差を保ったが、6区で報徳学園・岡川がじりじり追い上げ、3.3キロでスパート。岡川は70メートルの差をつけてアンカー波越へ。愛工大名電・可児も追ったが差は縮まらず、逆に残り1.5キロで波越がスパートし、テープを切った。可児はゴール寸前、世羅・三浦に抜かれて3位に落ちた。

◎ トピックス

15人ゴボウ抜き

九州勢で最高の6位に入賞した中津工。その立役者は3区を走った藤田。23位でタスキを受け取ると、自重していたのは最初の1キロだけ。あとは弾かれたように国体1,500メートル2位の持ち前のスピードを上げ、前を行く走者をゴボウ抜き。3区中間点で沿道にいた橋内監督から「いま15位だぞ」と声をかけられると、さらに勢いづいて4位グループにも食い込んだ。最後はくたびれたのか8位でタスキを渡したが、それでも15人抜きの離れ業で、橋内監督を「これで九州チャンピオンの面目がほどこせた」と喜ばせた。

記録

途中棄権

埼玉栄の1区・山口政信(3年)が左足首骨折のため、8.5キロで途中棄権した。第4回大会(1953年)の平塚(神奈川)以来、史上2回目。埼玉栄は2区走者が、第1中継点到着の最終チームより5分26秒遅れて再スタート。オープン参加として扱われ、総合記録は認められないが、2区以降の区間記録は認められる。