男子第38回大会の記事

【「全国高等学校駅伝競走大会 50年史」(全国高等学校駅伝競走大会実行委員会・2000年5月発刊)より抜粋】

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埼玉栄が初優勝

2時間5分台の高校最高記録で優勝のテープを切る埼玉栄の佐藤
2時間5分台の高校最高記録で優勝のテープを切る埼玉栄の佐藤

1区を制した埼玉栄が前半は独走態勢。4区以降で大牟田、市船橋、小林の急追を受けて激しい競り合いとなったが、埼玉栄は残り約900メートルでアンカー佐藤がスパートしてねばる大牟田を振り切り、2時間5分57秒の高校最高、大会新記録で初優勝した。2時間5分台は史上初。

2位の大牟田も2時間6分1秒の高校最高、大会新記録をマークした。高校最高、大会新記録の更新は3年連続。小林は5年ぶりの3位に、前年優勝の市船橋は4位、報徳学園は5位となった。

■ レース評

残り900メートル 一気発進

高校長距離界の”星たち”が競り合った1区
高校長距離界の”星たち”が競り合った1区

1区は8キロ付近から巽(埼玉栄)、木戸(報徳学園)、松本(國學院久我山)の激しい首位争い。9.5キロで松本がスパートしたが、巽が抜き返し2区・石倉へ。石倉が2位・國學院久我山との差を約90メートルに広げた。

埼玉栄は3区・山本が國學院久我山との差を約150メートルにした。しかし、4区では山口(大牟田)が、伊豆(小林)、村松(報徳)とともに追い上げ、2.8キロ地点で大沢(國學院久我山)を吸収し、4人で菅原(埼玉栄)との差を詰め始めた。5キロすぎに大沢、村松が後退。菅原と山口、伊豆の差は55メートルに。

5区では、和田(埼玉栄)がトップを守り、中山(小林)が中村(大牟田)に競り勝ち2位に。6区に入り、4位から柳(市船橋)が急追。3.3キロで新井(埼玉栄)を捕らえてトップに出たが、直理(大牟田)も食いつき、3人が一団の争い。直理が最後に新井をかわしてアンカーへ。

7区で森山(大牟田)に並んだ佐藤(埼玉栄)はゴール手前900メートルでスパート、そのままゴールした。3位には、小林のアンカー橋本が浜崎(市船橋)をかわして食い込んだ。

一発勝負へ 耐えた1年

「3区までで勝負を決める。後半勝負となる都大路の最近の流れを変えたい」。レース前、埼玉栄・渡辺監督は自信に満ちていた。1、3区に高校中・長距離界を代表するスピードランナーの巽、山本を配し、2区に急成長の石倉を投入。前半で断然トップの独走態勢をつくる、初優勝への大胆な青写真を描いていた。

だが、落とし穴は3区にあった。期待の山本が4キロ過ぎから急にペースが落ち、苦しい表情に。「横っ腹が急に痛み出した。痛みをこらえるのがやっとだった」。4区にタスキが渡った時、2位・國學院久我山との差は28秒。「前半勝負」の読みは崩れ、流れは一転した。

6区3.3キロで急追の市船橋、大牟田に並ばれ「これまでか」と思えた。だが、残り100メートルまで食いついた埼玉栄の1年生・新井は、スパートした大牟田・直理を必死の形相で追いかけ、わずか3秒差でタスキを渡した。

あと100メートルの粘りにかけた新井は「余力は全くなかった。なぜ、まだ走る力があったのか分からない。ただあれが、報徳などがよく言う“120%の力”ではなかったかと思う」と振り返った。

約20メートル差でタスキを受けた佐藤は、すぐに大牟田・森山に追いつき約4キロ並走したあと、残り900メートルでスパート。「スピードが遅いので、じらされた格好で飛び出した」と余裕の佐藤。森山は「あんな上りの途中でスパートするとは。虚をつかれた」とうなだれた。「一発勝負ではチーム1」(1区・巽)との信頼を得ていた佐藤は、瀬戸際でものの見事にその“一発”を決めた。

連続12回出場の埼玉栄は、最近は出場するたびに優勝候補と騒がれたが、どこかにもろさを見せて優勝を逃してきた。渡辺監督は「勝因は4区以後に見せた耐えに耐えた粘り。スピード以上に、この“しつこさ”が都会チームにもほしかったんです」と晴れやかに語った。

【石井 修】

◎ トピックス

11年連続入賞逃し

大会出場25回、うち優勝4回。1977年の第28回大会から昨年まで10年連続10位内入賞を果たしてきた世羅。ブラスバンド部員はじめ生徒、父母ら300人を超える応援団が懸命の声援を送ったが、今年は飛び抜けた力を持つ選手がいないこともあって苦しいレースが続き、2時間10分52秒で14位に終わった。「11年連続」を逃した宮広監督は「2時間9分あたりのタイムが出せれば、と思っていたが……。気持ちを切り替えて出直しです」とちょっぴり気落ちした表情だった。

記録

高校最高、大会新記録

2時間5分57秒の埼玉栄など2校が更新。これまでの記録は、高校最高が今年の埼玉県予選で埼玉栄がマークした2時間6分12秒。大会記録は、前回の第37回大会で市船橋が出した2時間6分30秒。


区間新記録

6区で柳倫明(市船橋)が14分38秒。7区で佐藤善徳(埼玉栄)が14分31秒でそれぞれ記録。