男子第47回大会の記事

【「全国高等学校駅伝競走大会 50年史」(全国高等学校駅伝競走大会実行委員会・2000年5月発刊)より抜粋】

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報徳、7年ぶり復活優勝

トップでゴールする報徳学園のアンカー安藤
トップでゴールする報徳学園のアンカー安藤

報徳が逆転で7年ぶりの復活優勝を遂げた。1区4位と出遅れたものの、2、3区でタイムを詰め4区で仙台育英をとらえると独走態勢に。結局、1分半以上の大差をつけて6回目の優勝となった。兵庫勢は3連覇を果たし通算12回目(報徳学園6回、西脇工5回、飾磨工1回)の日本一で、都道府県別優勝回数で単独トップに立った。

主力の欠場が響いた大牟田は2位、熊本工が24年ぶりに3位に入った。仙台育英は、ケニアからの留学生、ジュリアス・ギタヒが2年連続の1区区間賞で飛び出したが、後半が伸びず7位。初陣の土岐商が10位に入る健闘をみせた。

■ レース評

仙台育英が4年連続1区制覇

全区間で計算通りの力を発揮した報徳学園が「追跡駅伝」を制した。1区は予定通り、仙台育英のギタヒが飛ばし、報徳は高橋が第2集団の揺さぶり合いをしのいで、ギタヒから1分22秒差の4位。2区で大牟田と並走しながらじわじわと差を詰めた報徳は、3区の永井が大牟田との競り合いに勝って仙台育英に17秒差に迫り、4区の2.7キロ過ぎで新井がトップを奪った。抜け出してからも新井はゆったりした柔軟なフォームで自己のペースを崩さず、1分8秒差をつけてタスキを継ぎ、5区の清家がさらにリードを広げて終盤区間の負担を減らした。エース区間の勝負強さと質の高い走りは出色。激戦区の兵庫を勝った伝統校の底力を感じさせた。

大牟田はこの日の朝、急きょメンバー変更となった4区の藤本が8位に後退する誤算。終盤に追い上げたが、出入りの激しい内容で2位を確保するのが精いっぱいだった。

熊本工は前半に自重して後半勝負が奏功。田村は前回2位から順位は下げたが、中盤の失速をカバーした粘り強さは光った。埼玉栄、白石はアンカーの好走でそれぞれ2年連続の入賞を果たした。仙台育英はギタヒが思うように伸びず、後半の粘りも欠いて7位に後退した。

4区で首位の報徳学園 7年ぶり復活

4区2.7キロ地点、仙台育英・菅原をとらえる報徳学園・新井(右)
4区2.7キロ地点、仙台育英・菅原をとらえる報徳学園・新井(右)

先行逃げ切りを図る仙台育英・ギタヒの後ろ姿を見つめながら、高橋はいぶかった。「5キロを過ぎたのにギタヒの姿がまだ見えている」。2区への中継点でトップ・仙台育英と4位・報徳学園との差は1分22秒。「この差なら4区で新井が追いつける」。高橋は逆転を信じた。

中継所で待つ新井も、沿道の観衆の会話で、ギタヒに昨年のような爆発力がなかったことを知り、「ゆとりができた」という。さらに、大牟田で4区を走るはずだったエース村上の突然の欠場も、新井の負担を軽くした。3区で仙台育英との差を17秒に縮めた主将の永井からタスキを受けた新井は、小気味よく伸びやかにリズムを刻むリラックスした走りに徹することができた。2.7キロ付近で仙台育英・菅原をとらえ、そのまま抜き去った。

ライバル校に起きた二つの誤算は、報徳学園にとっての追い風になったが、時の運だけでは頂点は極められない。「兵庫予選で西脇工と戦うプレッシャーに比べたら、全国大会の方がリラックスできる」。選手たちは口をそろえる。昨年まで全国大会2連覇の西脇工という壁を乗り越えてきた自負と余裕が、持てる力を出し切る原動力になった。

例えば2区の浜本。兵庫地区予選、兵庫予選、近畿大会、全国大会と4大会続けて2区を務めた浜本は、エース区間を走る同じ3年生の高橋、永井に比べ、地味な存在だ。だが2区のスペシャリストらしく3キロという短い区間でありながら、1区での差を20秒短縮して逆転への下地を作る陰の功労者になるなど、選手がそれぞれに与えられた役割を十分に果たした。

「地味な補強練習にも耐えてきてくれた選手たちのおかげ」。7年ぶりにめぐってきたチャンスを生かし切った選手たちに、鶴谷邦弘監督は、はちきれんばかりの笑顔で感謝の気持ちを表した。

【阿相 久志】