男子第52回大会の記事

【毎日新聞社紙面より抜粋】

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仙台育英 雪辱2年ぶりV

両手を広げてゴールする仙台育英の佐藤和也
両手を広げてゴールする仙台育英の佐藤和也

仙台育英が大会歴代4位の2時間3分46秒の好タイムで2年ぶり3回目の優勝を果たした。仙台育英は9年連続でケニア人留学生が1区を走り、サムエル・カビルが歴代2位の28分27秒の区間賞で2位に54秒の大差をつけ、その勢いをつなげて、1秒差の2位に終わった昨年の雪辱を果たした。

九州学院が過去最高の2位、昨年は21年ぶりに入賞を逃した西脇工が3位。昨年、仙台育英に競り勝った優勝候補の大牟田は、1区で46位と出遅れたが、3区大津聖が17人抜きを演じるなど順位を上げ、7位入賞を果たした。

■ レース評

仙台育英〝完全制覇〟

1区のカビルで飛び出した仙台育英が前半の貯金で逃げ切り、2年ぶりに頂点に立った。仙台育英はカビルがスタート直後から独走態勢を作り、2位に54秒の大差をつけた。3区・清野までリードを1分16秒に広げると、4区以降は堅実な走りで追い上げる九州学院をかわした。

九州学院は3区で一井が集団から抜け出すと、4区・小陣以降は後続を引き離し、最後はトップと15秒差にまで追い上げた。

最後までもつれた3位争いは、1区で12位と出遅れた西脇工が5区・北村の区間賞の力走で浮上した。4位には5年ぶりに田村が入り、5位の佐久長聖は4年連続入賞を果たした。

優勝候補のトップと目された大牟田は1区・土橋が大きく出遅れたものの、次第に追い上げて7位。予選タイム3位の埼玉栄は13位に終わった。

カビル貯金 逃げ切る

スタート直後に抜け出した埼玉栄の佐藤を追って大牟田・土橋が飛び出す。わずか200メートルで仙台育英のカビルが2人をかわして先頭に立つと、佐藤と土橋の2人も負けじとペースを落とさず競技場外へ。ところが、激しいトップ争いは長くは続かなかった。

力強いフォームで軽々と西大路を上がっていくカビルとは対照的に佐藤の伸びは鈍り、土橋は後続集団からも離された。優勝候補ならではの重圧だろう。留学生を意識した序盤からのハイペースがたたって、差は広がるばかり。2強の一つ・大牟田が早々に崩れ、流れは仙台育英へ大きく傾いていった。

レース前の仙台育英・渡辺監督は不安だった。大会前は例年以上の寒さと積雪で走り込み不足。故障者の続出で、実際2区には予定外の内海を送り込んだほど。昨年1秒差で大牟田に負けて以来、高校生では珍しく10,000メートルを重視する練習で、長い距離への対応をしてはいたが、高校総体入賞者3人を擁する大牟田の追い上げは脅威だったからだ。

ライバルの変調は想定外だったが、仙台育英が慌てることはなかった。2区内海が区間3位でつなぐと、3区清野も冷静な走り。「精神的にきつかったけど、一つ一つ確実に基本通りに取り組めばいい、という監督の助言で楽になった」と例年、留学生の“貯金”を吐き出していた3区を区間4位で乗り切ると、後続も冷静につないでリードを守り切った。

陸上関係者はよく仙台育英の選手のフォームを褒める。クロスカントリーを取り入れた練習で理にかなったフォームを目指しているのだ。「無駄のないフォームも崩れない要因の一つ。ウチは基本の繰り返しです」と渡辺監督。直前にオーダー変更をしたライバルが崩れたことも、仙台育英のいつも通りの強さをより一層際立たせた。

【中田 博維】

◎ トピックス

9年連続で1区制す

仙台育英のカビルが最長10キロの1区で2年連続の区間賞を獲得。これで同校は9年連続で1区を制した。この間の1区走者は全てケニア人留学生で、ダニエル・ジェンガ(現ヤクルト)、ジュリアス・ギタヒ(現日清食品)、ジェームス・ワイナイナ(現スズキ)に続いてカビルが4代目。また、女子の1区区間賞も2年連続で青森山田のワゴイ。ケニア人留学生が初登場した93年以降の9年間で、女子も仙台育英、青森山田のケニア人留学生が6回、1区で区間賞を獲得した。

大牟田が39人抜き

1区の46位から7位まで追い上げた。第16回大会(65年)には目黒(南関東)が1区の54位から12位と順位を42上げた例があり、この時は3区で49位から一気に24位となった。


諌早、仙台育英が男女同時入賞

女子優勝の諌早は男子が6位で初入賞、仙台育英は男子優勝、女子6位。