男子第70回大会の記事
男子レース経過
1位でフィニッシュする仙台育英の吉居駿 |
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■ レース評
トラック勝負で逆転
7区で併走する仙台育英の吉居駿と倉敷の長塩 |
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7区の1キロ過ぎで長塩に追いつくと、吉居駿は「負ける怖さもあったが、先頭争いを楽しく走れた」という。真名子監督の「エースの吉居大、喜早に次ぐ勝負勘がある」との見立て通り、1年生らしからぬ冷静なレース運び。並走して競技場に入っても「表情に余裕がある」と真名子監督に勝利を確信させた。
そんな逸材がそろうチームの強さを支えるのが「リズムジョグ」と呼ばれる練習法だ。徐々にペースを上げて長い距離を走る負荷トレーニングで、「タイムを設定せず、温まった体のリズムに合わせてどんどんペースを上げていく」(真名子監督)。各選手が先頭を競い合い、最後はレースさながらに激しさを増す。「前の選手を追い、後ろの選手から逃げる」走りの原点にこだわる真名子監督の指導法に、吉居駿は「かなりきついけど、サバイバル感覚で楽しい。レース勘も磨ける」。昨年の全国中学校体育大会(全中)1500メートル優勝の実力者が、練習の成果を存分に発揮した。
東日本大震災翌年の12年、主力部員が豊川(愛知)に集団転校した。直後に赴任した真名子監督が、愛知出身の吉居兄弟ら有力選手を少しずつ集め、ようやくたどり着いた震災後初の優勝だった。さらに04年にマークした大会歴代2位の2時間1分32秒の記録にも並んだ。頼もしい選手たちが、名門復活を最高の形で成し遂げた。【伝田賢史】
倉敷3秒差で連覇逃す
3区でケニア人留学生、キプラガットの作った58秒の「貯金」を守れなかった。「先輩がつないでくれた1番のたすきで、本当に申し訳ない……」。2連覇を狙った倉敷で唯一2年生で出場したアンカーの長塩はフィニッシュ後、大粒の涙を流してうなだれた。
トップと8秒差の5位でたすきを受けたキプラガットは、次元の違う走りで、あっさりと先頭へ。「走っていて楽しかった」と区間記録まで4秒差の快走を見せたが、新監督は「後半の戦力を考えれば抜かれる」と覚悟していた。6区で仙台育英・ディラングの猛追を受け、長塩にたすきが渡った時点で貯金は5秒しかなく、逃げ切れなかった。
この5年間で優勝2回、準優勝2回、3位1回と驚異的な成績を残した。ハイレベルな留学生の存在を励みに意識を高めつつ、故障の予防に気を配って継続して練習を重ねることで力をつけた。
今大会出場した日本選手は、中学時代に個人種目で全国大会の経験がないという「雑草軍団」(新監督)。わずか3秒差で連覇は逃したが、歴代4位の好タイムは選手の成長を物語っている。【村上正】
トップと8秒差の5位でたすきを受けたキプラガットは、次元の違う走りで、あっさりと先頭へ。「走っていて楽しかった」と区間記録まで4秒差の快走を見せたが、新監督は「後半の戦力を考えれば抜かれる」と覚悟していた。6区で仙台育英・ディラングの猛追を受け、長塩にたすきが渡った時点で貯金は5秒しかなく、逃げ切れなかった。
この5年間で優勝2回、準優勝2回、3位1回と驚異的な成績を残した。ハイレベルな留学生の存在を励みに意識を高めつつ、故障の予防に気を配って継続して練習を重ねることで力をつけた。
今大会出場した日本選手は、中学時代に個人種目で全国大会の経験がないという「雑草軍団」(新監督)。わずか3秒差で連覇は逃したが、歴代4位の好タイムは選手の成長を物語っている。【村上正】
◎ トピックス
1区、日本選手歴代最高 八千代松陰・3年 佐藤一世(いっせい)
各チームのエースがひしめく「花の1区」で、日本選手歴代最高の称号を手にした。佐久長聖の上野裕一郎(現・立教大男子駅伝監督)が2003年に出した記録(28分54秒)を6秒更新。「ここまでタイムが出るとは思わなかった。攻めのレースができてよかった」と笑みがこぼれた。
前回大会も1区を任され、終盤に追い上げて2位に入った。今回は常に先頭集団で走ることを意識し、勝負どころを見極めた。つまずきかけてヒヤリとする場面もあったが、「ラストまでもつれるとやられる」と残り500メートル付近でスパート。過去には上野のみだった28分台を7人がマークしたハイレベルなレースを制した。
今季は一時不振に陥り、全国高校総体は予選で棄権。長野・菅平高原での他校と合同の夏合宿で鍛え直し、復調した。卒業後は大学駅伝の強豪、青山学院大に進学予定。「みんなでたすきをつなぐ。ともに喜べるのが駅伝の魅力」と走りを磨く。【芳賀竜也】
前回大会も1区を任され、終盤に追い上げて2位に入った。今回は常に先頭集団で走ることを意識し、勝負どころを見極めた。つまずきかけてヒヤリとする場面もあったが、「ラストまでもつれるとやられる」と残り500メートル付近でスパート。過去には上野のみだった28分台を7人がマークしたハイレベルなレースを制した。
今季は一時不振に陥り、全国高校総体は予選で棄権。長野・菅平高原での他校と合同の夏合宿で鍛え直し、復調した。卒業後は大学駅伝の強豪、青山学院大に進学予定。「みんなでたすきをつなぐ。ともに喜べるのが駅伝の魅力」と走りを磨く。【芳賀竜也】