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5区で後続を引き離す世羅のテレシア・ムッソーニ |
世羅のアンカー・ムッソーニがたすきを受けたのはトップの立命館宇治と42秒差の8位。優勝候補の神村学園も5区で留学生のバイレが走り、逆転は難しいと思われたが、ムッソーニは「自信を持っていた」。3キロ付近で先頭を走るバイレを抜き去るとそのままフィニッシュし、チームメートと喜びを分かち合った。
県予選会では5区で区間1位になったが、左脚の痛みや貧血で満足のいく走りができなかった。都大路へ向けてウオーキングなど軽めの練習を中心にして疲れを取ると徐々に復調。前日に「9割まで戻ってきた」(中川久枝監督)という見立てをはるかに超えた走りで、5区の区間記録を27秒も更新する快走を見せた。
ケニアから留学した当初は日本語を話せなかったが、この日はインタビューで「勝つとしか思わなかったけん」とチームメートから教わった広島弁も飛び出した。周りからの信頼は厚く、1区を走った主将の山際は「(トップの姿が)見える位置で渡したらラストで逆転してくれると思っていた」と話す。
神村学園などの優勝候補には、3000メートルの自己ベストを合計したタイムで後れを取っていた。中川監督も前日に目標を「入賞」と語るなど控えめで「優勝したい気持ちはある一方で、リラックスしていた」と振り返る。
1区の山際が4位に入ると、4区まで粘りの走りで順位をつなぎ、アンカーに望みを託した。終始落ち着いたたすきリレーで並み居るライバルを押しのけ「120点満点」(中川監督)の走りで栄冠をつかみ取った。【黒澤敬太郎】