2連覇のテープを切る仙台育英の梁瀬峰史 |
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5年ごとの記念大会で47都道府県代表に地区代表11校を加えた男子は、スタート前に藤沢翔陵が棄権して57校で争うことになり、仙台育英が昨年の自校の大会記録を35秒更新。大会史上初の2時間1分台となる2時間1分32秒の高校国内国際新記録で、2年連続5回目の初の連覇を果たした。仙台育英は3区のワンジル(3年)が、これまでの区間記録を47秒も縮める22分40秒で飛ばし、トップの滋賀学園を抜き去ると、その後は全員区間賞の走りで、後続を全く寄せ付けなかった。
2位との3分17秒差は第25回大会(74年)の世羅の3分28秒差に次ぐ歴代2位の大差。5回の優勝は大牟田と並ぶ歴代4位タイとなった。豊川工が、東農大二との後半の激しい競り合いを制して2位。これまで11年連続入賞の大牟田は22位。藤沢翔陵がスタート前に棄権、白石も1区走者が途中棄権した。
高校の陸上競技で、外国人留学生の記録や、留学生を含むチーム記録を高校最高記録と区別するために、全国高校体育連盟が2年前、「日本高校国内国際最高記録」を設け、今年から表記を「高校国内国際新記録」に改めた。高校最高記録は西脇工が97年の第48回大会で作った2時間3分18秒。
3区で先頭に立った仙台育英が、計5区間で区間賞をマークする圧倒的強さをみせた。1区はカリウキが飛び出した滋賀学園が引っ張った。仙台育英は佐藤秀が日本人最高の3位につける堅実な走りで2区につないだ。
仙台育英は2区で先頭との差を50秒に詰めると3区でエースのワンジルが3キロ過ぎで先頭に。ワンジルは区間記録を47秒縮める驚異的なスピードで独走態勢を築き、4区以降もリードを広げ、2位に3分17秒差をつける圧勝だった。
2位以下は混戦に。アンカー勝負を制した豊川工が過去最高の2位に食い込み、東農大二も2時間5分を切る粘りをみせて3位。中盤追い上げた報徳学園が4位。3区で杉本が12人抜きの快走をした上野工が5位に入る健闘をみせた。
昨年2位の佐久長聖は序盤の出遅れが響いて12位に沈み、一昨年優勝の西脇工も伸び悩んで11位に終わった。
3区3キロ付近、滋賀学園・谷(後方)を抜き去り、突き放す仙台育英・ワンジル |
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男子の優勝タイムが2時間1分台に突入した。しかし、実業団で監督経験のある仙台育英・渡辺高夫監督自身、「高校生の適正タイムは2時間4分台だ」と指摘する。成長段階で無理な負荷をかけると、以後の成長を阻害するケースがあるという考え方だ。
3区の区間記録を10年ぶりに更新したワンジルや1区の日本選手歴代2位の記録を出した佐藤秀ら、傑出したメンバーが集まったため誕生した大会記録であり、来年以降の優勝争いを占う基準になるタイムにはならない。その意味で、今回の仙台育英は「留学生と競わせ、日本人ランナーを育てる」という渡辺監督の理想が結実したチームといえるだろう。
一方で、優勝経験のある西脇工が11位、大牟田は22位、世羅も25位と入賞を逃し、新旧交代の気配を感じさせる大会にもなった。大牟田の大見治夫監督は「ゼロからのスタート。県や九州でごまかして勝っても全国では通用しない。来年は、もっと強くする」と言った。伝統校の巻き返しなるか。これからの見どころになる。
【栗林 創造】藤沢翔陵が1区予定選手の体調不良のため、出場を棄権した。レース前の棄権は史上初めて。
石谷慶一郎(3年)が26日午前10時半ごろ、西京極陸上競技場でめまいや頭痛などを訴え、医師から出場は無理と診断された。選手変更の受け付けは本来、同日午前9時20分まで。大会本部は特例として代替選手を提案したが、同校は補欠選手が各区に移動していたことなどから選手変更は無理と判断、棄権を決めた。